こんにちはこんばんはいらっしゃいませおはようございます。僕です。
社員とかバイトとかパートとかとか…
なんとなく働く時間とか福利厚生とかの違いがあるのかなと思っていたけど、具体的に何が違うのかはよくわからない。
ので、ちょっと調べてみた。
結論からいうと、これらはすべて「労働者」であり、法的には同じカテゴリーに分類されるみたい。

労働者の定義は、以下の法律で示されている。
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
労働基準法第9条
この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
労働契約法第2条
つまり、「使用されて」「賃金を支払われる」人は、雇用形態とか呼び方とかにかかわらず、すべて労働者ということになる。

「社員」「アルバイト」「パート」という言葉自体には、
- 「社員」は元々、商法上の会社構成員である「出資者」を意味していた
- 「バイト」はドイツ語の「Arbeit(アルバイト)=労働」から来た言葉で、明治〜大正時代に学生の副業を指す意味で使われ始めた
- 「パート」は英語の「part-time(パートタイム)=短時間勤務」に由来し、主に主婦層などの働き方として定着した
こんな感じの語源があるらしい。
どの呼び方も、法律に根拠があるわけではなく、時代や企業文化によって変化してきた言葉らしい。
呼び方の違いは企業内ルールの話で、他にも「準社員」「非常勤職員」「従業員」などの呼び名も、法律で定められているものではない。
大体が企業の社内規定(就業規則)で独自に定義しているものとなる。
たとえば
- 当社における『正社員』とは、無期雇用契約を締結し、フルタイムで勤務する者をいう
こんな感じ。

労働者の立場や待遇をより正確に理解するため、「正社員/非正社員」みたいな法律に基づかない曖昧な分類じゃなくて、雇用形態・雇用期間・労働時間の3軸で整理する。
- 雇用形態:直接雇用/間接雇用(派遣)
- 雇用期間:無期雇用/有期雇用
- 労働時間:通常の労働時間(フルタイム)/短時間労働(パートタイム)
雇用形態は、雇用期間と労働時間を包含した広義の意味で使われることもあるが、ここでは分けて考える。
この3軸を組み合わせると、以下の8類型に整理できる。

こんな感じ。

労働者の契約形態は、民法上の「雇用契約」、労働基準法・労働契約法上の「労働契約」を締結しているということになる。
民法上の「委任契約」「請負契約」に基づいて業務を遂行する場合は基本的に「労働者」ではない。
「請負」や「委任」という形式をとっていても、実態として使用者の指揮・命令のもとに働き、その報酬として賃金を受けていれば、実態は労働契約となる。
その場合、労働者派遣法違反として「偽装請負」となり、「労働者」として扱われ、労働基準法・労働契約法などの保護を受ける対象となる。
先程整理したとおり、同じ労働契約でも雇用形態・雇用期間・労働時間によって契約内容が変わる。
通常の労働契約であれば、上表の「1.直接契約+無期雇用+通常の労働時間」で、いわゆる「正社員」として雇われ、労働基準法・労働組合法・労働関係調整法などの「労働法」によって労働者は保護される。
直接契約のうち、短時間労働や有期雇用の労働者は、無期雇用+通常の労働時間(いわゆる正社員)と比べて、不安定な雇用条件になりやすい。
そのため、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)」という法律によって一定の保護が与えられている。
派遣労働者は「間接雇用」で、実際に働く職場と雇用主が異なる特殊な立場となるので、短時間・有期雇用労働者と同様に、不安定な雇用条件になりやすい。
そのため、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」という法律によって、派遣元企業・派遣先企業の両者に対し、責任と義務が定められている。

日本には社会保険制度というものがあり、主に以下の5つによってリスクに備えることが強制されている。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険(健康保険加入者のうち40歳以上65歳未満)
- 雇用保険
- 労災保険
労働者の働き方によって、この5つの社会保険制度の適用範囲も変わってくる。
「正社員だから加入」「アルバイトだから未加入」という言い方は、厳密には正しくない。
社会保険は、ざっくりいうと労働者の生活を保障するもの。
健康保険は医療、年金は老後、介護保険は要介護の際に、社会の提供するサービスを受けられる保険、で社会保険。
週所定労働時間が「通常の労働時間の4分の3以上」なら原則加入となる。
4分の3未満でも「週20時間以上・月収8.8万円以上・2ヶ月超見込み・学生でない・従業員数51人以上(2024年10月〜)」に該当すれば加入対象となる。
労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、再就職を促進するため必要な給付を行うもの。
週20時間以上かつ31日以上雇用見込みであれば加入対象となる。
労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、不幸にも死亡された場合に、被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うもの。
雇用形態に関係なく、すべての労働者に強制適用となる。

公務員は、憲法により全体の奉仕者とされている。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
憲法第15条第2項
「契約」ではなく「任用」によって公務員という身分を与えられるので、労働者ではない。
基本的に労働法の保護対象ではないが、一部準用されたりもする。
公務員に関しては国家公務員法と地方公務員法という法律によって働き方が定められている。
準公務員やみなし公務員のように、「雇用契約」による労働者として扱われたり、一部公務員の規定を準用したりするような中間的な立ち位置の職もある。

社員もアルバイトもパートも呼び方は違うけど本質的にはみんな「労働者」として扱われる。
明確な違いを判断するには呼び方の違いよりも、雇用期間・労働時間・雇用形態の3軸での分類が重要となる。
立場が不安定になりがちな労働者(短時間・有期・派遣)は、個別の法律で保護され、社会保険の適用は働き方によって異なる。
見た目の肩書きや名称は俗称に過ぎず、正社員として働いていても、短時間労働者や有期雇用労働者だったりする。
実態に即した立場を理解することで、制度上の労働者としての正しい理解に繋がる。
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