kiccoちゃんさん(嫁)が昔働いていた会社で「出来れば、乙4(おつよん)とって欲しい」って言われたことがあるらしいが、何故「出来れば、乙4とって欲しい」と言われたのか気になったので聞いてみた。
「乙4」は「乙種第4類危険物取扱者」の略称のこと。→【乙4とれよ】丙種危険物取扱者が何故あるのか
【危険物の取り扱いと立ち会い】
どうやら詳しく聴くと、職業的には塗装屋さんで「シンナー」をたくさん使うから乙4の資格を持った人が作業場に一人はいなきゃいけないみたい。
「取扱作業に関して」
政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者で、六月以上危険物取扱いの実務経験を有するもののうちから危険物保安監督者を定め、総務省令で定めるところにより、その者が取り扱うことができる危険物の取扱作業に関して保安の監督をさせなければならない。
(消防法第13条第1項)
「立ち会いに関して」
製造所、貯蔵所及び取扱所においては、危険物取扱者以外の者は、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者が立ち会わなければ、危険物を取り扱つてはならない。
(消防法第13条第3項)
今までいた人は大事なポストに入るから現場で立ち会うことができないとか。だから「出来れば、乙4とって欲しい」って言われたのかぁ。なるほへ。ってことはシンナーって危険物なの?
【シンナーって何?】
そもそも、シンナーって何?吸ったらダメだよーって小学校で習った気がする希ガス。いや、中学校だったか。体育館に集められて、薬物依存について消防署の人からお話をしてもらったっていうイベントがあったような。
とりあえず消防法上でシンナーは第4類危険物の第1石油類に分類されるらしい。

↑の黄色いとこ。シンナーが危ないと言われているのは、引火性が高くてもし引火してしまったら火傷とか火事とかになりかねないから。他にも吸ったら、めまい・頭痛・酩酊状態とかになって、大量に吸うと呼吸ができなくなったりして命に係わるらしい。
kiccoちゃんさん
「職場のハエも入ってきてすぐ死んでたよ^^
ゴキブリも元気な姿は一回も見た事ない^^
空気が殺虫剤だったのかな^^」
ヒィ
え、そんな危ないもの何に使うんだろう。塗装屋さんだったから塗装に関係する何かなんだろうとは思うけど想像がつかない。ちょっと調べてみたら、塗料に使うことが分かったけど塗料にもシンナーが含まれているものもあるとか理解できないことが多かった。
もういっそのこと何に使うのかkiccoちゃんさんに聞いてみたらカルピスに例えてくれた。
「カルピスで例えると、その原液のままだと濃すぎてとてもじゃないけど飲めない(美味しいけどね)。だから、好みの薄さに水で薄める(私は最近薄味派になった)。でも、原液の状態でも液体でしょ。つまり、原液の状態でも無機溶剤(水分)がある程度含まれている。それをさらに飲みやすい薄さに水で薄める。その水分の部分が、シンナー。もともとカルピスは水で薄める物って知っているから誰も油とかでは薄めない。それと同じように塗料にも初めからある程度有機溶剤(シンナー)が含まれている。それを後から有機溶剤(シンナー)でさらに薄めて使う。」
むずっ
【定義せずにはいられない】
とりあえず、シンナーは「有機溶剤」っていうものだった。「溶剤」っていうのは、物質を溶かす物質の総称で、無機溶剤と有機溶剤がある。無機溶剤は水とかで有機溶剤がシンナーとか。カルピスの溶剤は水、絵の具の溶剤は水、マニキュアの溶剤は除光液、油性塗料の溶剤はシンナー。
シンナーは何かしらの薬品の名前なのかと思ったら、英語で「thin[薄い]+(n)er[もの]=thinner[薄めるもの]」だった。
【何故シンナーを使うのか】
塗装屋さんなので油性塗料を使う。新品の状態だと液状になっていて、使おうと思えばそのまま使える。油性塗料の中にも有機溶剤(シンナー)が入っているから。
でも、シンナーは揮発性がメチャクチャ高い。すぐに乾いてしまってカチカチになってしまうらしい。そういうところもあって、油性塗料にシンナーを混ぜて使いやすい柔かさまで戻す。逆に薄め過ぎたら濃いヤツとかで戻してたらしい。こんな感じで、油性塗料を溶かすにはシンナーを使わないと溶けない。
他にも、もし水性塗料で屋外塗装をしてしまった場合、雨ですぐに水性塗料が剥がれてしまう。水性塗料は水に溶けるから。対して、油性塗料は、水に強くてシンナーに溶けるという性質がある。この性質を利用して、油性塗料で屋外塗装をすれば、雨でもすぐに油性塗料は剥がれないという使い方ができる。塗装した後は、その高い揮発性でシンナーだけ揮発して、塗料だけが残ってカチカチになる。
そして、着彩後の筆は水では洗えない。油性塗料を塗った筆にも油性塗料が付いているから。だから筆はシンナーで洗う。
筆は基本的に動物の毛を使って作っているから動物性油脂が含まれている。何度も筆を使っているとシンナーによって動物性油脂が溶かされてボサボサになる。大掃除とかで筆をシャンプーとリンスで整えてあげていたらしい。こうやって定期的に整えてあげないとどんどん毛が抜けて行ったりしてすぐにダメになるから。
つまりシンナーは引火するし毒性もあって危ない物だけど、塗装屋さんには欠かせない物だよってことが分かった。
【おまけコラム】
身近なシンナーっぽいもので言うと、マニキュアとか除光液。マニキュアも除光液も第4類危険物の第1石油類に分類される。引火するし毒性もあって危ない物だけど、ネイルサロンには欠かせない物だよってことが分かった。
←2,271文字 おわり
僕のYeah! 
