随時かつ任意に移動できない状態ってなに?建物か車両かの判断

こんにちはこんばんはいらっしゃいませおはようございます。僕です。

これまでトレーラーハウスにかかり得る税金を調べてきたけど、よく出てくるのが「随時かつ任意に移動できる状態」という表現。
この言葉は、建物として扱うか車両として扱うかを判断する際の重要なキーワードとなっている。

建物と車両の扱い

一言に「建物」といっても、
固定資産税を課税する上では家屋(地方税法)
都市計画税を課税する上では家屋(地方税法)
不動産取得税を課税する上では家屋(地方税法)
登録免許税を課税する上では建物(登録免許税法)
建築確認する上では建築物(建築基準法)
こんな感じに、何の話をするかによってその文言が変わる。
だけど、どうやら固定資産税・都市計画税・不動産取得税における家屋は「不動産登記法上の建物」、登録免許税における建物も「不動産登記法上の建物」という感じっぽかった。
つまり、建物の扱いを考えるならば、
・不動産登記法上の建物
・建築基準法上の建築物
この2点を押さえておけば良さそう。

対して、「車両」は
自動車税を課税する上では自動車(地方税法)
自動車重量税を課税する上では検査自動車(自動車重量税法)
自賠責に加入する上では自動車(自動車損害賠償保障法)
基準緩和認定を受ける上では自動車(道路運送車両法)
特殊車両通行許可を得る上では自動車(道路法)
こんな感じに、一応自動車で統一されている。
「地方税法上の自動車」は「道路運送車両法上の普通自動車と三輪以上の小型自動車」なので道路運送車両法
「自動車重量税法上の検査自動車」は「車検に関係して検査証の手続きが発生する車両」なので道路運送車両法
「自動車損害賠償保障法上の自動車」は「道路運送車両法上の軽車両以外の道路運送車両」なので道路運送車両法
「道路法上の自動車」は「道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車」なので道路運送車両法
つまり、車両の扱いを考えるならば、
・道路運送車両法上の自動車
この1点を押さえておけば良さそう。

建物の判断

不動産登記法上の建物は、
①外気遮断性(屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し)
土地定着性(土地に定着した建造物)
③用途性(その目的とする用途に供し得る状態にあるもの)
この3要件。(不動産登記規則第111条)
トレーラーハウスは①外気遮断性と③用途性を既に満たしていることが多いので、②土地定着性を満たすと「不動産登記法上の建物」として扱われる。

建築基準法上の建築物は、
土地に定着する工作物であり、
②屋根および柱または壁を備えているもの(それに類する構造も含む)
③以下のようなものも含む
 ・門、塀(建物に附属するもの)
 ・観覧席など観覧用の工作物
 ・地下や高架構造内の施設(事務所、店舗、倉庫など)
④ただし、以下は除く
 ・鉄道・軌道の線路敷地内の運転保安施設
 ・跨線橋、プラットホームの屋根など鉄道運用上の構造物
 ・貯蔵槽など、これらに類する施設
※「建築設備(例:エレベーターや空調など)」も建築物に含まれる。

こんな感じ。(建築基準法第2条第1号)
トレーラーハウスは大抵屋根および柱または壁を備えているので、土地に定着すると「建築基準法上の建築物」として扱われる。

つまり、トレーラーハウスは土地に定着したと判断された時点で建物と判断される。

土地定着性とは

土地定着性は、「建物が土地に固着しているか」と「永続性」から判断する。
固着とは、固く引っ付いて離れないということで、基礎工事などで物理的に結合されることで「建物が土地に固着している」と判断できる。
これは文字通り土地に定着していると直感的に分かる。
永続とは、文字通り長く続くということで、その土地に今後も設置されたままの状態が続くと判断されると「永続性」が認められる。
簡単には動かせないような使い方をしていた場合、その土地に今後も設置されたままの状態が続くと判断されることになりそう。
その判断も、自治体によって異なるみたいだけど、例えば富山県ではプレハブとかコンテナとかの「ユニットハウス等」は明確に建築物に該当すると判断するっぽかった。

ユニットハウス等は、物理的に土地に結合していなくとも、電線・電話線・給水管等の引き込みの有無にかかわらず、事務機器の設置、物品の収納等の状況により事務所、倉庫等の用途に継続的に使用されていると判断されるものについては、建築物に該当します。

富山県土木部建築住宅課参照
https://www.pref.toyama.jp/1507/kendodukuri/toshikeikaku/keikaku-tochi/kj00006303.html

トレーラーハウスの建築基準法上の扱いは、2022年版日本建築行政会議『建築確認のための基準総則』の中の「車両を利用した工作物」に書かれている設置方法に準拠するみたい。(2022年版日本建築行政会議『建築確認のための基準総則』 「車両を利用した工作物」について
土地への定着性が確認できるものについては、建築物として取り扱うらしい。
建築物として取り扱う例として「随時かつ任意に移動できるとは認められないもの」として記載されている。

「参考」は
・トレーラーハウスに関する建築基準法の取扱いについて(昭和62年12月1日住指発第419号)
・トレーラーハウスの建築基準法上の取扱いについて(平成9年3月31日住指発第170号)
となっていた。
どちらも建設省からの通達。
建設省は昔の国交省みたいな感じ。
住指発は建設省宅局建築導課長出の略。
茨城県のwebページ「建築物に関するお知らせ」の「トレーラーハウスについて」にその通達のリンクが貼ってあった。
ホーム > くらし・環境 > まちづくり・環境 > まちづくり > 建築・開発許可・宅建 > 建築士・建築士事務所・監察関連 > 建築物に関するお知らせ(https://www.pref.ibaraki.jp/doboku/kenshi/kansatsumennkyohp/kenchiku/kentikubutunikansuruosirase/kentikubutunikansuruosirase.html)

トレーラーハウスに関する建築基準法の取扱いについて(昭和62年12月1日住指発第419号)は、トレーラーハウスが建築物に該当することの理由として「随時かつ任意に移動することができない」を挙げている。

トレーラーハウスの建築基準法上の取扱いについて(平成9年3月31日住指発第170号)は、「随時かつ任意に移動できる」トレーラーハウスは建築物には該当しないことが書かれている。

こんな感じに、通達の中で「随時かつ任意に移動」という言葉が出てきている。
2022年版日本建築行政会議『建築確認のための基準総則』の中の「車両を利用した工作物」に同じ言葉が出てきているので、この通達の言葉を引用したものだと推測。

随時かつ任意に移動できない状態とは

基礎工事によって土地に固着している状態はもちろんのこと、例えば
・階段、ポーチ、ベランダなど移動を妨げる構造がある
・ライフライン(水道、電気など)が工具なしで外せない
・車輪が走行可能な状態にない
・車輪以外で地面に固定され、工具なしでは外せない構造のもの
・公道に至る通路がない
・適法に公道を移動できない
こんな感じのものは「随時かつ任意に移動できない状態」となる。
他にも、臨時運行許可(仮ナンバー)や特殊車両通行許可等を受けたことだけでは「随時かつ任意に移動できるもの」との判断はできないなどがある。
今のはあくまで例示で、建築基準法上の建築物と判断された場合は、建築基準を満たしていない時点で違法建築物となる。(2022年版日本建築行政会議『建築確認のための基準総則』 「車両を利用した工作物」について

車両の判断

道路運送車両法上の自動車は、簡単に言えば適法に公道を走行できる用具のこと。
適法に公道を走行するためには、車検を通して登録してナンバープレートの交付を受けなければならない。
保安基準制限超車両の場合は、適法に公道を走行するために「基準緩和認定」「特殊車両通行許可」などもある。

合わせて読みたい

基準緩和認定と特殊車両通行許可ってなに?

適法に公道を走行」することができることで車両と判断できそうだけど、「建築物ではない」とするために随時かつ任意に移動できる状態である必要がある。
随時かつ任意に移動できない状態の逆のことというだけだけど、例えば、
・階段、ポーチ、ベランダなど移動を妨げる構造がない
・ライフライン(水道、電気など)が工具なしで外せる
・車輪が走行可能な状態にある
・車輪以外で地面に固定されていても、工具なしで外せる
・公道に至る通路が確保されている
こんな感じのものは「随時かつ任意に移動できる状態」といえ、これによって車両であると判断することができる。
車両であることによって、土地定着性を否定できる。
逆に、車両でないと判断されるならば、高確率で建物と判断されそう。

まとめ

随時かつ任意に移動できる状態」かどうかは、形式より「実態」で判断される。
見た目でタイヤがついていても「実際に自由に動かせる状態」でない場合は「建物」と判断される可能性が高い。
反対に、使用状況や構造が「いつでも移動可能」であれば、車両とみなされやすくなりそう。
建物か車両かで税金や建築確認の有無などの周辺手続きが大きく変わる。
ただその判断も自治体によって変わるっぽいので、設置前に実態ベースで確認しておくと間違いない。
シャーシだけ車検を通せばいいとか牽引免許の話とか「950登録」「型式追加」とかとか、お話が多すぎた。
トレーラーハウスは奥が深そうだった。

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