円の流出ってなに?円の流出が起こらない理由

こんにちはこんばんはいらっしゃいませおはようございます。僕です。

為替相場の話になると、「円が海外に流出して円安になる」といった表現をよく見かける。
だけど、この言い回しは誤解を招く側面がある。
厳密にいえば、起こっているのは「所得の流出」であって、実際には円そのものの流出は起こらない。

円の流出とは?

「円の流出」と聞くと、外国に大量の日本円が持ち出されて、日本で使われずに外国で使われてしまうというイメージがある。
円とは、基本的に現金と預金。
つまりお金。
実際に、日本の紙幣と硬貨を物理的に海外へ持ち出すことはできる。
だけど、物理的に円を海外へ持ち出すことを「円の流出」というには少し違和感がある。
物理的に持ち出したとしても、円は日本国内でのみ法定通貨として流通しているから、使おうと思ったら日本で使わなきゃいけない。
最終的に円が日本で使われるのならば、それは国内にとどまっているのと同義であり、タンス貯金と実質的に同じ扱いになる。
タンス貯金のことは円の流出と言わず、どちらかというと貯蓄という感じ。
なので、物理的に円を海外へ持ち出すことを「円の流出」とは言わない。
海外で手持ちの円を使いたい場合は、外貨に両替しなければいけない。
両替した時点で、手持ちのお金は円から外貨に両替されるので、外国でいざ「お金を使う」となったときに使うお金は円ではない。
つまり、円の流出を定義づけるならば、「円の流出とは、本来日本国内でのみ流通する決済通貨である円が、日本以外の国においても正式に流通・決済手段として継続的に用いられ、日本国内の通貨供給量を実質的に減少させる状態」をいう。
現状では日本以外の国で円が法定通貨になる例は存在しないため、実質的に「円の流出」という事態は起きていない。

所得の流出とは?

一方、「所得の流出」は実際に起こり得る現象。
まず、所得とは、収入から経費を引いたもので、上表の10種類ある。
商品やサービスが売れたらそれが収入で、その収入の為に費やしたお金が経費

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簡単に言うと「利益」の部分。
利益があれば、それを消費や投資に充てることができる。
これが所得
つまり所得の流出とは、「日本で得た所得が、国内のモノやサービスに使われず、海外での消費や投資に回されることで、日本国内の経済循環から外れること」をいう。
日本人が海外にお金を支出すると、その分だけ日本国内の事業者の売上機会が失われ、日本の事業者の収入が減少するという側面もある。
外貨に両替して海外で使うことは、現に海外旅行や留学、海外での消費や投資によって行われているので、所得の流出は起こっている
逆に、海外から日本への旅行や留学や消費や投資も行われているので、所得の流入も起こっている。
また、海外に流れた所得が将来的に利益や配当、サービスの提供などを通じて日本に戻ってくる場合もある。
少なくとも支出時点では「日本の所得が海外に流出した」と評価できる。

両替とは?

両替の仕組みから「円の流出」の誤解を考えてみる。
両替とは、貨幣を他の種の貨幣にかえること
外貨に両替ができる「両替屋さん」としては、金融機関、外貨両替専門店、金券ショップなどがある。
例えば、日本の両替屋さんでからドルへ両替をすると、両替屋さんはを受け取ってドルを渡す。
とりあえず為替レートが一定と仮定すると、両替屋さんの資産は円が増えてドルが減るが、合計資産は変わらない。
同じように、利用者の資産もドルが増えて円が減るが、合計資産は変わらない。

円は両替屋さんで留まり、流通貨幣の減少は起こっていない。
両替屋さんは増えた円を使って、外国為替市場や金融機関から不足したドルを仕入れる。
これで両替屋さんの資産構成は再び円が減ってドルが増える。
ここでも両替屋さんの資産構成が変わっただけで、資産の合計は変わらない。
こんな感じに両替屋さんは資産構成のバランスを保っている。
この流れを見ると、「円が流出する」というよりは、通貨の交換と在庫調整が繰り返されているだけであり、円そのものが海外に流れ出るわけではないことが分かる。

所得の流出は円安につながる?

円の流出が起こらない一方で、所得の流出は実際に起こっている。

さっきの例では為替レートを一定と仮定したが、今度は所得の流出が実際に為替レートに影響を与えるのかを考えてみる。
所得の流出が起こるということは、海外でお金を支出するために、円を売って外貨を購入する動きが起こるということ。
その結果、相対的に円の需要が下がり円安につながる。
こんな感じに、所得の流出は円安方向へ為替レートに影響を与える可能性がある。
円安の背景には、「所得が海外に流れる」という実体経済の動きが含まれていることもある。

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まとめ

とりあえず、「円の流出」は起こらない。
円の流出が起こらない以上、日本国内の通貨供給量が実質的に減少することはなく、円の流出による円安も起こらない。
実際に起こるのは「所得の流出」であり、これは日本国内の資産や売上機会が海外に移ることを指す。
両替屋さんの仕組みを見ると、通貨の交換と在庫調整が為替変動の背景にあることが理解できる。
円安は「所得の流出」に伴う円売りの増加によって起こるため、「円の流出」と混同しないことが重要。
とはいっても、「円の流出」という表現が使われることもある。
その場合、実態としての「所得の流出」を指している可能性が高い。
言葉を正確に使い分けて、経済や為替を正しく理解していきたい。

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